累計60万部の大ヒットミステリー『0能者ミナト』で知られる葉山透さん。今回は、最新作『霊能者のお値段』の創作の裏側をお聞きします!

――今回の最新作『霊能者のお値段』では、スーツにメガネでお金に厳しい霊能者・高橋の設定が面白いと思いました。高橋のキャラクターのアイディアはどのように浮かんだのでしょうか?

第一回の質問の答えとかぶりますが、「霊能者さんって、悪霊祓っていくらお金をもらえるの?」という素朴な疑問からです。

「自分だったら、悪霊払いにいくら払う?」とか「家族や友人が、悪霊払いに何十万も使ったら、絶対騙されてるって思うけど、フリーランスのプロの職業と考えれば、お気持ちだけで、ってわけにいかないよね。経費もかかるし、何十万です、ていっても暴利とはいえないよね」とか考え始めて。

弁護士さんや税理士さんのお話を聞くと、「世間から持たれているイメージ」との乖離に苦労があったりして面白いなと。
ちゃんとした国家資格のお仕事ですらそうなのだから、霊能者はもっと難しいでしょう。

高橋が普通の事務所で、スーツにビジネスバッグを持ち、見積書や契約書を作ると、逆に「世間一般の霊能者のイメージ」とかけはなれていく。怪しげじゃなくすると、逆に怪しい。

そうやって、高橋のキャラクターは、私にしては珍しくすんなりといきました。

――今回の作品で書いていて楽しかった部分、また苦戦した部分を教えてください。

書いていて楽しかったのはハルトです。
イケメンで有名タレントでお金持ちなのに道化という二枚目半の役なのですが、主役の高橋が真面目な有能なキャラクターゆえに無口で難しかったのに比べ、ハルトは馬鹿をやっても許される自由さがあり、おまけにおしゃべりで、のびのび書けました。

人気者のイケメンという華やかなキャラクターを描くのは久しぶりで楽しかったです。そういう脇役ほど、設定がどんどんできていくんですよ。
本名で呼ばれるとなぜ怒るのかとか、彼の実家は実は大きいお寺とか、いろいろあります。いつか書けるといいですね。

そういう感じで、脇役だったはずが、メインキャラに昇格しました。

――逆に苦労した部分はどこでしょうか?

あとがきにも書いたのですが、ご当地ものの難しさです。
神奈川県民歴も長く、みなとみらいは今も外のカフェで仕事をするときに良く行く場所のひとつ。好きな場所だから舞台にしようと思うわけで、好きなものを書けるのだから楽しいはずなのに……。

いざ書いてみると、思い込みで間違っていることが多くてびっくりしました。
自分の中では「5.6年前に取り壊された場所」が実は「取り壊されたのは十年以上前」とか。駅名を混同していたり、正式名称が違っていたり。

あとは、路線図が詳細に頭に浮かぶぶん「本当はこの電車だと逆だよねー」と自分でつっこんだりとか。
私の好きなスポットも書こうと思っていたのに、「悪霊が出てくる」というネガティブなシーンに好きなお店や場所を実名で登場させるわけにもいきません(笑)。

でも高橋の事務所がある設定の、みなとみらいの横浜美術館の周辺は、晴れた日とか本当に気持ちいいので、ぜひ行ってみて欲しいですね。
潤がコーヒーを飲んでいたスタバで、私もたまに原稿を書いています!

最終回は、カバーイラストの製作過程についてご紹介します!

Twitter Facebook