「作家デビューするまでの階段って、一段ずつ登っていくイメージがあると思うんですけど、結構、足踏みばかりして登れない時期があって、それがいきなりガーンと登れちゃう瞬間ってあるような気がするんです」

 第87回は作家の薬丸岳(やくまる・がく)氏をお迎えして、謎解きの見せ方、作家になるまでの経験、物語の組み立て方などについて語っていただきました。

◆俳優→脚本家→そして作家へ/『13階段』の衝撃/書き写しの効用

――薬丸さん、講評は初めてとのことですが、3本のテキストを読んでみた感想はいかがですか。

薬丸 僕は初めて書いた小説で乱歩賞を取ってデビューしたんですが、それまでは、10代からずっとシナリオの勉強をしていて、応募とかしていたんですが、芽が出ませんでした。その当時の僕の作品に比べたら、みなさん大丈夫です(笑)。当時の僕は、自分はきっと才能があると思っていたんですが、怖いもの見たさで、改めて当時の原稿を読んでみたら、よくそんな思い込みができたなというぐらい、空恐ろしいものでした。

――最初は俳優を目指していた、とのことですが。

薬丸 そんなイタい時期もありました(笑)。劇団の研究生になったんですけど、自分には向いてないなということで、4ヶ月ぐらいで諦めたんです。それから脚本家を目指したんですが、当時はまだ書きたいものが定まっていませんでしたね。人間ドラマだとか、青春ラブストーリーだとか。ただ、物語を作る仕事がしたいというだけでしたね。

――シナリオの勉強は、その後に役立っていますか。

薬丸 半年ぐらいシナリオの学校に通いまして、その後はある先生に1年ぐらいついて、2週間に1回ぐらい集まって勉強していたんですが、正直なところ、ものすごく役に立ったということは少ないです。ただ、その先生が、まず原稿用紙5枚ぐらいのあらすじを書かせるんですね。そこで、先ほどやっていたような講評をするんですけど、先生のGOが出ないとシナリオを書かせてもらえないんですよ。10本以上あらすじを書いてもシナリオを書けないようなこともあって、当時は不満に思っていた部分もありましたが、今この仕事をやってみて、プロットの大事さがわかりました。魅力的なあらすじを作って、これを作品にすべきかどうか考えるというのは、大事なことだと思いました。

――脚本家を断念して、今度は小説家になろうとされたのはなぜですか。

薬丸 ドラマの脚本などは結果が出なかったんですけど、30歳を過ぎたころに、漫画の原作の賞で2~3回、佳作をいただいたんです。でもそれがなかなかプロの仕事には結びつかなくて、やはり脚本でプロの道に進むのは難しいのかなと思っていたとき、通勤電車で『13階段』(高野和明著。第47回江戸川乱歩賞受賞。現在文春文庫)を読んで、衝撃を受けまして。それまでは小説を書こうと思ったことは一度もなかったんですが、自分の志の低さに気づいたというか。僕は当時33歳で、夢を追うかどうか崖っぷちのところにいたので、とにかく時間がかかってもいいから、ゼロから小説の勉強をして、『13階段』と同じ江戸川乱歩賞に応募しようと思ったんです。そして、『13階段』を全部書き写しました。乱歩賞の原稿が原稿用紙550枚以内だったんですが、僕はそれまで50枚ぐらいの作品しか書いたことがなかったので、量の感覚がつかめなかったんですよ。なので、550枚という分量を体で覚えたかったので、高野さんの『13階段』と、東野圭吾さんの『魔球』(講談社文庫)という、こちらも乱歩賞の候補になった作品を、パソコンで打ちまして。ただ打つだけでも、けっこう時間がかかるんですね。当時やっていた仕事が終わってから打っていたんですが、ただ写すだけでこんなに時間がかかるんだから、自分で考えて書いたら10年ぐらいかかるのかなと思いました(笑)。
 それまで小説をあまり読んでこなかったんですよ。なので、小説のことがよくわかっていませんでしたから、これは勉強になりました。

――僕も若いころは好きな作家の作品を書き写して文章の練習をしたものです。これは文章の構成や句読点の打ち方など、呼吸がわかっていいです。でも、普通は短篇でやるものですよ(笑)。

◆文庫は長く生きていく/非道な事件への怒り/「書きたい」ものと「書かなきゃ」と思うもの

――江戸川乱歩賞を受賞した『天使のナイフ』(講談社文庫)が、初めて書いた小説だったんですね。

薬丸 そうですね。それでデビューしたんですが、その後はすごく苦労しました。

――薬丸さんは、文庫化のときにすごく文章を直されますよね。僕が解説を担当した『ハードラック』(講談社文庫)も、ほぼ全面改稿でしたし。

薬丸 最近の作品はそこまで変えなくて済んでるんですが、ある時期までの作品は、改めて読み返すと構成も文章も気になるところがたくさんありますので、変えるべきときには変えています。

――変えた結果として、文章もキャラクターもよくなっていますし、ストーリーも非常に泣かせますよね。こういったエモーショナルな要素というのは、ご自分の中にあるものなんですか。

薬丸 僕の作品は陰惨なものが多くて、完全なハッピーエンドは難しいんですけど、多少は、最後には光を見せたいと思うんですね。

池上 その辺の改稿などについて、担当の佐々木さん、どうでしょうか。

講談社 佐々木啓予氏 私は改稿が多い時期の作品を担当していましたが、薬丸さんが作品に向かう誠実な姿勢が全てに通底していて、作品に人柄が出るんだなと本当に思いました。陰惨な、答えのない、非常に難しい問題に取り組んでおられるがゆえに、その誠実で前向きなお人柄が、単なるバッドエンディングでもただのハッピーエンディングでもない作品なのに、読者のみなさんの共感を得ている理由だと思います。
 おかげさまで売れ行きも好調でして、最近もまた重版がかかっておりまして、たいへんありがたいです。

池上 そうなんですよね。僕も『ハードラック』の解説を担当して、ほかの文庫本を再読して、奥付を見てびっくりしました。こまめに重版・重版なんですね。

薬丸 10数年前に書いた作品でも、いまだに回転して重版をかけていただいたり、ネットで新しく感想を書いてくださるも方もいたりして、ありがたいと思います。文庫はずっと残っていくものなので、できる限り納得いく形で入れたいというのはありますね。

――僕は伊坂幸太郎さんや東山彰良さんの文庫解説も担当しているんですが、本文から気の利いた台詞を引用しようとしたら、その台詞が文庫ではカットされている、なんてこともあります(笑)。あの人たちもよく直されますが、薬丸さんほど全面改稿される方は珍しいです。
 今、書店の店頭に並んでいる、KADOKAWAのPR誌『本の旅人』9月号では、薬丸さんと深町秋生が対談をしています(「『地獄の犬たち』刊行記念対談」)。そこで、深町秋生が、薬丸ミステリの根底にあるものは犯罪への怒りであると言っていますね。

薬丸 そもそもデビュー作の『天使のナイフ』は少年法を題材にした作品でして。自分の中に結構大きなものがないと、長篇を1本書くのは難しいなと思ったんですが、じゃあ今の自分に何か強い思いって何があるだろう、と考えたときに、少年法が出てきたんですね。僕が高校を卒業してすぐぐらいのときに、東京の綾瀬というところで女子高生コンクリート詰め殺人事件という、非常に酷い少年犯罪がありまして、強い衝撃を受けていたんですね。それまで少年法という存在も知らなかったんですが、作品を書くためというわけでは全然なく、少年法や少年犯罪についていろいろ調べていたんです。僕自身は事件や犯罪には関係なかったんですが、自分の身内が被害者になったらどう思うかとか、加害者には甘いけど被害者には理不尽な制度の不備とか、デビュー作につながったのはそういう犯罪に対する怒りが根底にあったと思います。

――その対談では、薬丸さんご自身が、ひどい性犯罪などを書くのが嫌で嫌で仕方がない、怖いんだけど書いている、とおっしゃっています。なぜ書いていけるんでしょうか。

薬丸 なぜですかね(笑)。僕は、小説を読むにしても映画を見るにしても、エンターテインメントが好きなんです。でも、自分の中にふた通りあるんですね。「書きたい」作品と「書かなきゃ」と思う作品と。「書かなきゃ」という作品ばかりやっているとしんどいですし、「書きたい」作品ばかりだとバランスとしてどうかなと思うところがありますので。

◆小説修行僧・薬丸岳/著書100冊までの道のりは/キャラは動くか・動かないか

――その対談では、たくさん書くうちに小説を書くのが楽になるかと思っていたが、そうではなかった、1作仕上げるごとにハードルが上がっていって、なかなか楽にならない、ともおっしゃっていますね。やはり書くことはつらいですか。

薬丸 そうですね。私は今年でデビュー13年目なんですが、ここまでやっていけるとはあまり思っていませんでした。もしそのぐらいやっていけているのであれば、何ていうんですかね、もっと精力的になるかと思っていたんですが、そうでもないですね(笑)。
 どんどんハードルが上がっていくというのは、これはプロの作家なら誰でもそうだと思うんですが、それでもやはり大変ですね。

――ではここで、特別ゲストの今野敏さんにお伺いしたいと思います。今野さんから見た、作家「薬丸岳」は、どうですか。

今野敏氏 修行僧のようですね(場内笑)。なんでこんなにつらい作品に向き合い続けられるのか。佐々木さんも言っていたように、誠意の人だと思います。私は逆に、誠意も何もないので(笑)、うらやましいと思いますね。
 書くのがつらくなるというのは、これはそういう時期なんだと思います。自分の話をして恐縮ですが、100冊書くと楽になりますよ(笑)。

薬丸 遠いですね……(笑)。あと80何冊かあ。

――(笑)100冊を目指すためというわけでもないんですが、まず書き方の原点からお聞きします。小説を書き始めるときは、どこから考えますか。プロットですか、それともキャラクター先行ですか。

薬丸 僕の場合は、キャラクターからではないですね。プロットといいますか、設定、題材というところから入っていくのがほとんどです。2~3行ぐらいのごくごく簡単なあらすじで、僕や担当編集者さんが「面白い!」と思うかどうかを基準にしています。書き終わってから、思ったほど出来が良くなかったなというときは、そのあらすじがうまく決まっていなかったことが多いですね。

――深町秋生は、デビュー前には梗概をかっちり書き込むタイプで、僕は80枚ぐらいの梗概を読まされた記憶がありますが(笑)、今もそうなの?

深町秋生氏 いやいや、今は全然そんなことしないですよ(笑)。今は、連載の企画をいただいたときにも「じゃあこんな感じで」って、10枚ぐらい渡すだけですかね。あとはもう、急ぎのときなんかは見切り発車でいくようになりました。

――それは頼もしい。ところで薬丸さん、書いていて、キャラクターが勝手に動いてストーリーが変わっていくような感じはありますか。

薬丸 書き下ろしか連載かによっても違うんですが、連載の場合だと、ここ数年はあまり先を考えないで、結末も犯人も決まってない状況で書いてることも少なくないです。

――この講座の常連講師である角田光代さんや三浦しをんさんは、おふたりとも「登場人物は1ミリも動かない」とおっしゃっています(笑)。「私が考えて動かしているのであって、キャラクターが勝手に動くことはない」と。

薬丸 まあ、代わりに書いてくれることはないですね(笑)。

――それから、大沢在昌さんや角田光代さんは、長篇を書く前に、登場人物たちの履歴書を作るそうです。ノート1冊つぶすぐらい、人物の過去や家族環境などを書いて、主人公のみならず、1行だけ出てくる脇役までしっかり設定するそうですが、薬丸さんはそういう履歴書などは作られますか。

薬丸 いや、僕はしないですね。どういうふうにしていったら物語の展開として面白くなるだろうかということをよく考えているので、そこまでキャラクターを作ることはないですね。きっと、キャラクターが勝手に動いてくれるというふうにできる作家の方は、そこまで作り込んでいるからそうなるんでしょうね。

◆アイデアのきっかけは/出ない答えでも、探し続ける/作家の人生には、無駄も回り道もない

――アイデアはどこから得るんですか。

薬丸 アイデアに関しては本当に、不意に出てきますね。電車に乗っていて中吊り広告を見ていたりですとか、テレビで事件のニュースを見ていたりですとか、そんなとき不意にアイデアの断片は出てきます。でも、僕の場合はそれをすぐには使えないことが多いですね。それらを溜めておいて、断片のアイデアがいくつかつながってきたときに、ようやく「書けるかな」という感じになってきたりします。

――デビューしてから今までに、書き方が変わってきたと感じますか。

薬丸 自分としてはそんなに変わったという意識はないんですけど、どうだろう……。今は『刑事のまなざし』(講談社文庫)にはじまる夏目シリーズしか短篇は書いていないんですが、短篇に関していうと、動機の部分がかなり重要になってきたといいますか。僕はあまりトリックを考えられないタイプなので、人の心や気持ちの部分から考えますね。
 読者にカタルシスを感じてほしい、ということは考えますけど、僕は作品で描いているテーマの性格もあって、明快な答えを出すことが難しいんですね。ただ、少なくともその答えを探し続けよう、という考えで書いています。
 文体も、できるだけシンプルに書こうというふうに変わってきたと思います。初期の作品を改稿するのも、過去の文章と今の文章が違ってきているので、そこを合わせようという意識がありますね。

――文章を直すときに、理想としているのはどんなことですか。

薬丸 文章に限らず、重視しているのは読みやすさですね。文章もそうですし、登場人物に感情移入できるかとか、先が気になるような展開とか、いろんな意味で読みやすさを重視しています。どうしてかというと、僕は子どものころからすごく小説を読んできたような人ではないですから、小説って他の娯楽に比べて、読者に忍耐を強いるジャンルだと思うんですよ。だからこそ、いい作品に出会ったときの感動は大きいと思うんですけど。

――プロ作家として続けていくために、考えているのはどんなことですか。

薬丸 ここに来るまでいろいろ考えていたんですが(笑)、もちろん自分が何か表現したいと思うことも大事なんですが、今は出版業界も含めて本当に厳しいですから、その中で、お金を出して本を買ってもらうということの意味、というのを考えています。出してもらうお金に見合うだけの価値にプラスして、なおかつ自分のやりたいことをやる、みたいな。うまく言えてる自信はないんですが、そんなことを考えています。

――デビューしてからが本当に大変な世界ですが、そこに至る前の、デビューを目指す人間にアドバイスするとしたら、どんなことがありますか。ご自分の体験を踏まえて、教えていただきたいのですが。

薬丸 僕も作家デビューする前は、デビューってものすごく大変なことなんだと思っていたんですよ。10年近く投稿を続けても結果が出せなくて。だけど今思うのは、デビューして本を出すことっていうのは、そこまで難しくないのかなって。それから仕事を続けていくことのほうが、何十倍も難しいと思います。いったんデビューすると、なかなか立ち止まれないんですよね。どんどん書かなければいけなくて、立ち止まるとそこで遅れを取ってしまうみたいな強迫観念もありますし。だから、デビューするまでにいろんな経験をされたら、きっとその後の糧になるんじゃないかと思うんですよね。僕は、小説自体は応募作が初めてだったんですけど、過去にシナリオの勉強を十数年してきたことは、回り道をして無駄な時間を過ごしてきたと思っていたんです。でも、選考委員のひとりだった真保裕一さんが、「シナリオの勉強をしてきたからこの作品が出来たんじゃないだろうか」みたいなことをおっしゃっていたと聞いて、無駄ではなかったんだなと思いました。自分が無駄だと思っていた時間があったから、デビューした後もなんとかやっていける、ひとつの材料になっているのかなとは思いますね。

――作家のみなさんを見ていると、人生に無駄ってないんだなと思いますね。みなさん、ご自分の経験を後々に活かされている。

◆「意見を聞く」耳の大切さ/階段を登るイメージと足踏みのイメージ/「見切り発車」のテクニック

――これからデビューしようとしている新人には、どんなことを求めますか。

薬丸 今日のテキストを提出された方たちは、いろいろ言われて嫌な思いもされたかもしれませんけど、こういう機会ってなかなかないんですよね。このような講座を受講するか、もしくはプロにならないと、他者の意見ってなかなかもらえないんです。プロになってからは、もっともっと厳しいことも言われると思います。担当編集者や先輩作家から、すごく厳しいことも言われると思いますが、それはすごく大事なことだと思いますので、どのぐらい先かわかりませんが、何かの賞を取られたときに、きちんと意見を吸収できるようにしてほしいです。言われた意見を全部そのまま聞けということではないんですけど、受賞したからといって安心しないで、いろんな意見をフラットに聞けるほうがいいと思います。

――デビューする前にしておくべきことは、何があると思いますか。

薬丸 今までに小説を書かれたことがある方は、以前とまったく違うアプローチをしてみてもいいと思います。なぜかといいますと、僕がシナリオの応募をしていたときから小説に変えた時点で、今までだったら絶対やらなかっただろうな、ということをいくつかやったんですね。たとえば、ひとつのものを書くときに1冊ぐらいの資料しか読まなかったのを、小説の場合は100冊ぐらい読み込んだりとか。また、たとえば、僕はそもそも小説の書き方自体がわからなくて、文章を書くことにすごく抵抗があったんですよ。それで、僕は外回りの仕事をしていたので、デジタルカメラで適当な風景を撮って、2~3行の文章を書いて、仕事で回っている間に推敲したりとか。会社にとってはたまったモンじゃないでしょうけど(笑)。長篇を書き写したことも含めて、それ以前の僕だったらやらなかったようなことなんですね。『天使のナイフ』を応募したときの労力が100だとすると、それまでは2とか3ぐらいの労力しか使っていなかった。ただ、それでも自分の中では「やってる」ふうに思っちゃっていたんですよ。だから、自分がこんなに努力しているのになんでわかってもらえないんだろう、と思っていらっしゃるとしたら、もっともっと、いろんなことをされたほうがいいのかな。
 階段って、一段ずつ登っていくイメージがあると思うんですけど、結構、足踏みばかりして登れない時期があって、それがいきなりガーンと登れちゃう瞬間ってあるような気がするんです。
 これだけは言いたいんですけど、僕がデビューする前の作品より、今日のみなさんの作品のほうが全然いいですよ(笑)。これからさらにがんばらないといけないでしょうけど。

――今までと違うことをする、自分を追いつめる、ということは大事ですね。では時間もなくなってきましたので、最後に今野敏さんから、薬丸さんに何か質問といいますか、エールをお願いします。

今野敏氏 見切り発車ができるようになった、という話がね、すごく面白いなと思ったんですよ。薬丸さんはものすごく綿密に計画を立てて書く人だと思っていたので。その辺の心境の変化についてお聞きしたい。

薬丸 先輩作家の方に、やっぱりそういう書き方をされている方が多かったんですよね。それで、自分もやるようになりました。今野さんも含めて、結構多くの方がそういう書き方をされていて、それがすごく成功していることが多かったので、自分の資質に合うのかどうかは実際やってみないとわからなかったんですけど、ある時期から自分もそういう書き方になっていますね。

――それで大きな破綻もなく書けるようになったんですよね。

今野敏氏 僕も若いころは単行本にするときに直してましたけど、今はもう、連載から単行本にするときも、単行本から文庫にするときも、ゲラすら読まないですね(笑)。

――(笑)そこはやっぱりプロ中のプロということですね。

薬丸 そこまで行くには、あと80何冊は書かないと(笑)。

――では残念ながら時間となりましたので、今日はここまでといたします。長時間にわたりまして、ありがとうございました。

(場内大拍手)

【講師プロフィール】
◆薬丸岳(やくまる・がく)氏

1969年、兵庫県明石市生まれ。幼い頃から映画に熱中し、俳優、脚本家、漫画原作者などを目指す。高野和明の江戸川乱歩賞受賞作『13階段』に出会い、本格的に作家を志し、2005年『天使のナイフ』で第51回江戸川乱歩賞を受賞してデビュー。『闇の底』『虚夢』『ハードラック』『死命』『逃走』(テレビドラマ化された)『刑事のまなざし』など次々に話題作を発表し、2016年『Aではない君と』で第37回吉川英治文学新人賞を受賞。鋭く現代的な主題と感動的な物語が熱い支持を受けている人気作家だ。

●Aではない君と (講談社文庫)※第37回吉川英治文学新人賞受賞
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●天使のナイフ (講談社文庫) ※第51回江戸川乱歩賞受賞 (テレビドラマ化)
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